成人T細胞白血病の解説 症状や感染経路・検査や治療について

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成人T細胞白血病って、どんな病気?

ウイルス感染が原因
ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-Ⅰ)の感染が原因です。日本のキャリア(持続感染者)は、最新のデータでは最大82万人と推計されています。「母子感染」への対策が進み、感染者数は減少してきていますが、今後は「性行為による感染」への対策が必要と言われています。
中高年の発症が多い
感染しても症状が出る人のほとんどが40歳以上で、60〜70歳に最も多く出ます。よって、病名に「成人」とつきます。
性行為では男性→女性
性行為による感染は、精子中のウイルスが原因となって感染しますが、ほとんど症状は出ません。
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どうしてうつるの?
(成人T細胞白血病の感染経路)

成人T細胞白血病は

  • 成人T細胞白血病は、HTLV-1というウイルスが原因で起こる病気です。
  • 感染した人の精液中のウイルスが、性行為によって感染します。
  • 夫婦間の感染では、男性がキャリアで女性がそうでない場合、結婚後約2年で20%程度の女性に感染するとの報告があります
成人T細胞白血病の感染経路図
成人T細胞白血病の感染経路図

こんなリスクもあります

  • 幼少時に母乳を通して母親から感染します。
  • 現在は、妊婦検診を受けていれば、母子感染を防ぐことができます。
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成人T細胞白血病の症状って?

男性、女性、ともに同じような症状が出ます。幼少期に母乳を通して感染した場合のみ症状が出る、と言われています。感染してから症状が出るまで30〜70年で、可能性は5%ほどと言われています。

症状(男女共通)

主な症状

  • リンパ節のはれ(首、わきの下、足のつけ根など)
  • 肝臓のはれ、脾臓のはれ
  • 原因不明の皮疹
  • 血液中のカルシウム値の上昇による、のどの渇き、意識障害、不整脈 など

ウイルス(HTLV-Ⅰ)に感染して悪性化したT細胞(リンパ球の一種)が、血液やリンパ液によって、骨髄骨髄(こつずい)骨の中の海綿状の空間。骨髄は血液細胞の製造工場のようなところであり、ここにある一連の細胞群が分裂増殖して、血液細胞、すなわち赤血球・白血球・血小板になっていく。肝臓肝臓(かんぞう)右上腹部にある暗赤色の内臓器官。人体で最大の臓器であり、胆汁の生成、糖・たんぱく質・脂質・ホルモンの代謝、有害物質の解毒、血液の貯蔵などの働きをする。内部環境の維持に大きな役割を果たしている。脾臓脾臓(ひぞう)左上腹部、胃の外側から裏側にあるリンパ系の臓器。リンパ球の生成による免疫機能や、血液の貯蔵、古くなった赤血球の破壊などの働きがある。消化管消化管(しょうかかん)摂取した食物を消化し、栄養素を吸収、排泄まで行なう器官。口腔→咽頭→食道→胃→小腸→大腸→肛門となる。肺(はい)胸部にある一対の臓器で、空気呼吸を行うための器官。内部は、無数の肺胞となっており、肺胞を取り囲む毛細血管との間で吸気からの酸素と二酸化炭素のガス交換が行われる。など全身の臓器に広がっていきます。
末期には免疫不全者に見られる日和見(ひよりみ)感染症日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)抵抗力が弱まったため、普通は病原性を示さない菌による感染が起こること。にかかりやすくなります。

成人T細胞白血病の発症箇所(男女共通)
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成人T細胞白血病を解決する

病院へ行く

STD研究所からのお知らせ

明らかな自覚症状がある場合は、
医療機関で早期診断を行うことをおすすめします。

受診科

男性 内科(血液内科)
女性 内科(血液内科)、産婦人科

治療費用は?

診察料 3,000円〜5,000円
検査代 4,000円〜
薬代 別途かかります

上記は、保険適応でない場合のおおよその金額です。保険適用の場合は、上記金額の3割負担となります。保険適用されるか否かについては、病院の治療方針などによって、様々です。

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成人T細胞白血病の検査・診断・治療の流れ

検査について

検査器具

血液検査でHTLV-Ⅰを調べます。

検査のタイミング

症状が出てからが現実的です。妊婦に対する検査は実施されています。ウイルスを持っている妊婦には、人工乳での保育が進められています。

治療について

薬

専門医による治療
症状のタイプにより、治療せずに経過観察、抗がん剤による治療、骨髄移植などがあります。

治療の流れ

感染していると診断された
個々の状態に合わせて治療法を決定する
症状によってさまざまなので、治療方法や治療期間は特定できません。
検査数値の改善・悪性細胞の減少
最終的に完全に治る確率は少ない。
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成人T細胞白血病の予防について

予防について

コンドーム

性行為による感染予防にコンドームは有効です。

母子感染を防ぐために

母子感染

母乳による感染が多いため、ウイルスを持っている人(キャリア)は人工乳での保育がすすめられています。
妊娠中に、必ず妊婦検診を受けるようにして下さい。