淋病が治せなくなる日
薬が効かない淋病って、ご存じですか?
このままだと、治せなくなるかもしれません。
淋病が治せなくなる!?
代表的なSTD(性感染症)、淋病。もしかすると、治せなくなるかも知れないって、ご存じですか?
淋病(淋菌感染症)は、淋菌という細菌が原因の病気です。淋菌は、性器やのど、直腸へ感染し炎症を起こします。症状は激しい排尿痛やおりものの異状など。ただし症状を感じない場合もあり、気付かずに放っておくと、不妊症の原因になることもあります。また、HIV感染のリスクも高まると言われています。
とはいえ、これまでは抗菌薬(抗生剤)による治療で比較的簡単に治せた病気。大きな脅威ではありませんでした。
しかし、これが治せなくなる、というのはどういうことでしょうか…?
抗菌薬と淋菌のイタチごっこ
もともと、淋病の治療には抗菌薬のペニシリンが使われていました。ところが、淋菌が少しずつ変化し、ペニシリンの効かない淋菌が登場。これをペニシリンの「耐性菌」といいます。
ペニシリンに代わる治療薬が開発されましたが、しばらくすると、今度はその薬の耐性菌が広まってしまいます。このようなイタチごっこが長く続いた結果、現在、効果的な治療薬として残されているのは「セファロスポリン」という薬剤のみとなっています。
日本は耐性菌の先進国!?
残された薬への耐性もますます進んでいます。
セファロスポリンには、飲み薬の「セフィキシム」と注射薬の「セフトリアキソン」があります。
2000年代前半、セフィキシム耐性菌が世界で初めて発見されました。場所は、なんと日本。さらに2009年にはセフトリアキソン耐性菌が、京都の女性の咽頭(のど)から発見されました。その後、2010年にフランスで、2011年にはスペインでも見つかっています。
そして、2017年7月7日のWHO(世界保健機関)の発表によると、世界77ヵ国のうち51ヵ国、つまり66%の国にセファロスポリン耐性菌が広がっています。
残念ながら、日本は耐性菌の先進国といえるかもしれません。淋病を治らない病気にしないために、今対策を打たなければなりません。
感染しない、させない、きちんと治療
では、どうすれば良いのでしょうか。
もし、淋病になったら、確実に治療する必要があります。
感染の機会があったり、淋病に似た症状がある、という場合は、淋菌を調べる検査を受けましょう。適切な診断がつけば、適切な治療ができます。
治療後は、「治癒の確認」を行うことも大切です。完治しないまま治療を中断すると、淋菌が耐性菌になってしまうかもしれません。
また、そもそも「感染しない」ということも大切です。淋病は、コンドームを着用することで予防できる病気。オーラルセックスやアナルセックスでもコンドームは忘れずに使用しましょう。
淋菌に感染したかも…?
少しでも気になるなら、まずは検査が大切。